新型コロナ対応の細胞療法の早期治験を米食品医薬品局がCelularityに認可

新型コロナ対応の細胞療法の早期治験を米食品医薬品局がCelularityに認可

2020年4月03日 by Jonathan Shieber 

Celularity(セルラリティ)は、ベンチャーキャピタルから支援を受け、癌治療のための画期的な細胞療法に

取り組んでいる。新型コロナウイルス(COVID-19)に有効と考えられる治療法に関する早期臨床試験を開始するため、必要なFDA(米食品医薬品局)からの初期認可を受けた。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko/Getty Images

Crunchbaseによると、同社はこれまでに、少なくとも2億9000万ドル(約313億円)を調達している。

「ナチュラルキラー」(NK)細胞療法を使用して、免疫システムが疾患と闘う際の反応を高める。

Celularityでは、こうしたNK細胞を、胎盤組織から培養された幹細胞から得ている。通常は、病院が医療廃棄物とみなしているものだ。

同社は、ベンチャー投資会社のSection 32と、いくつかの戦略的投資家から支援を受けている。その中には、

現在はブリストル・マイヤーズ(Bristol Myers)の一部門となったCelgene、生物医学技術開発会社のUnited Therapeutics、J. Craig Venter(J・クレイグ・ベンタ―()氏によって創立され、ベンチャーキャピタルから支援を受けたスタートアップのHuman Longevity、そして上場している生物医学企業のSorrento Therapeuticsが含まれる。Celularityは、新たな細胞療法についていくつかの応用に取り組んでいたが、それはもともと癌治療に焦点を当てたものだった。

同社が成し遂げた本当のブレークスルーは、細胞療法に使う細胞を、患者から取り出した細胞から培養する必要がないこと。それは時間もお金もかかるプロセスなのだ。それゆえ、同社への期待は高く、多くの資金が集まった。Celularityは、NK細胞を生成して保存できるので必要なときにいつでも輸血できる。

Celularityでは「FDAの承認を得て、86人を対象とした小規模な治験を開始し、新型コロナウイルスに感染した成人に対し、CYNK-001免疫療法による治療の有効性をテストする予定である」と述べている。

中国でも、ナチュラルキラー細胞が新型コロナウイルスの治療に使用できるかどうかをテストする、少なくとも

2つの研究が進行中だ。

NK細胞は、身体の免疫系の一部である白血球の一種。特定の病原体を標的とするt細胞とは異なり、NK細胞は通常、免疫システムをサポートするように働く。感染や変異によってストレスを受けていると判断される体内の細胞を特定して破壊する。

この治療法は、特定の種類の癌の治療には効果を上げているものと考えられる。

同社の研究者は、新型コロナウイルスを全身に広げる新型コロナウイルスの能力を停止させることで、同様の結果が得られると推測している。

ただし、NK療法を実施するにあたっては、それ相応の潜在的な障害とリスクがある。何よりも、新型コロナウイルスは免疫システムを暴走状態にする可能性があり、致命的となる場合もある。

感染によって引き起こされる「高サイトカイン血症」だ。免疫システムが、肺の健康な細胞を攻撃し始め、臓器不全を起こして死に至らしめる。その場合、新型コロナウイルスに対する免疫反応を高めることは、患者にとって危険なこととなる。またNK細胞が、新型コロナウイルスを引き起こす新型コロナウイルスに感染している細胞を検出できず

治療の効果が得られない可能性もある。

「研究では、ウイルスの種類に関係なく、ウイルス感染に対してNK細胞が強力に活性化されることが確かめられています」とCelularityの最高科学責任者であるXiaokui Zhang(キアオクイ・ジャング)氏は、声明で述べている。「こうした作用は、CYNK-001が感染した細胞を排除することによって、SARS-CoV-2ウイルスの複製を阻害し、疾患の進行を遅らせることで、新型コロナウイルスの患者に有益である可能性を示唆しています」。

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