新型コロナの予防には免疫力アップ 最も効果のある食べ物は?

新型コロナの予防には免疫力アップ 最も効果のある食べ物は?

抗菌作用が強く、ウイルスや細菌を退治してくれる(写真はイメージ)

 新型コロナウイルスは感染しても約80%が軽症で、その多くが無症状感染者だ。だが、その一方で、重傷化したり亡くなる人もいる。この違いは何かというと、免疫力の差だという。感染免疫学が専門の医学博士、藤田紘一郎氏が先日『免疫力 正しく知って、正しく整える』(ワニブックス│PLUS│新書)を出版した。免疫力が高まる食べ物について聞いた。

 これまで、人間に感染するコロナウイルスは6種類あるとされてきた。そのうち4つは、秋から春にかけて流行する風邪の原因ウイルス。残りの2つは、2002年に中国で流行した「SARS(サーズ)」と、2012年にサウジアラビアで流行した「MERS(マーズ)」。新型コロナは7つめのコロナウイルスということになる。

 現在、確認されているウイルスの中で、最も危険とされているのはエボラウイルスで、エボラ出血熱を発症すると致死率は50%前後になる。マーズの致死率は約35%、サーズは約10%。新型コロナの場合、ヨーロッパでは10%を超える国が多いが、日本では4・4%(5月16日現在)となっている。

「新型コロナは、無差別に人を重症化させるのではなく、免疫力の強い人には手出しができないウイルスです」と語るのは、藤田氏。糖尿病など基礎疾患がある人が亡くなるのは、免疫力が低下しているからだという。「私たちの身体の中には、侵入してきたウイルスや細菌を排除する仕組みがあります。それが免疫です」

免疫力を活性化する腸内細菌

 免疫には、2つの種類がある。自然免疫と獲得免疫だ。

「自然免疫にはいくつか種類があります。白血球には体内に侵入したウイルスや細菌を食べる免疫細胞があり、その中で好中球は、病原体が体内に入ると活性酸素を発射して分解します。この働きを貪食といいます。貪食能力の強いのがマクロファージと呼ばれる細胞です。マクロは大きい、ファージは食べるという意味です。がん細胞や体細胞の死骸を食べまくります。そして、体内をパトロールしながらウイルスに感染した細胞やがん細胞を見つけて攻撃するのがナチュラルキラーといわれるNK細胞です」

 人の体内では、毎日3000個から5000個のがん細胞が出現する。それを次々と攻撃するのがNK細胞だ。少なくても50億個、多い人になると1000億個が体内に存在する。これが多いほど免疫力が高いことになる。

「獲得免疫は、ウイルスなどに感染した後に得られる免疫機能です。ウイルスや細菌などは抗原と呼ばれますが、リンパ球のB細胞は抗原に特異的に結合する抗体をつくります。抗体にくっつかれた抗原は活動が抑えられて無力化します。抗体は3日から7日ほどでつくられます。それまでは自然免疫がウイルスなどと戦うのです」

 免疫細胞の約70%が腸に集まっているという。そして、免疫細胞を活性化するのが腸内細菌だ。腸には200種類以上の細菌がいて、仲間の細菌とコロニーをつくる。野生の花畑のような美しさがあることから“腸内フローラ”と呼ばれている。

「腸内フローラを健康な状態に保つには、食べ物が関係してきます。食事の6割を野菜類、豆類、果物類、全粒穀類(玄米や五穀米)などの植物性食品にすると、腸内細菌が繁殖します。また発酵食品は毎日とる必要があります。納豆は納豆菌、ヨーグルトはビフィズス菌、チーズは乳酸菌、味噌は麹菌、漬物は乳酸菌で、すべて腸内細菌の仲間です。さらに、食物繊維やオリゴ糖も腸内細菌の良いエサになります」

 免疫力を高めるためには、ニンニクが最も効果的だという。

「アメリカの国立がん研究所は、がんを予防する食品をまとめた『デザイナーズフーズ・ピラミッド』を発表しています。その頂点に立っているのがニンニクです。ニンニクの独特の匂いや辛味の成分は硫化アリルです。これが体内に入るとアリシンという成分に変わります。アリシンには高いがん予防の効果があり、加えて抗菌作用が強く、ウイルスや細菌を退治してくれます」

 もっとも、生のまま食べると胃を荒らすので、1日ひとかけらまでが適量という。

「ニンニクの次に免疫力アップに効果が高いのがキャベツです。キャベツには、水溶性と不溶性の食物繊維をバランスよく含んでいて腸内細菌の良いエサになります。また、腫瘍壊死因子(TNF)を産生させる作用が強いことがわかっています。それは自然免疫のマクロファージが分泌する物質ですので、マクロファージがTNFを分泌する働きを強める役割を持っているのです。キャベツは少々食べ過ぎてもニンニクのような副作用はありません。私も毎日食べています。とんかつ屋などの食べ放題のキャベツの細切りがお勧めですね」

 逆に、免疫力を下げる食品は何か? 

「腸内フローラにダメージを与える食品は、化学合成された食品添加物の入った食品です。たとえば、保存料のソルビン酸は、ハムやソーセージ、かまぼこなど広範囲の加工食品に添加されています。細菌の増殖を止める作用がありますが、これを日常的にとり続けると腸内細菌が減ってしまいます」

 小麦粉にあるグルテンも腸を傷つける。

「プロテニス選手のジョコビッチは、実家がパスタ屋だったため、普段からパスタをよく食べていました。グリテンが原因で時々不調に陥りました。グルテンというタンパク質は小腸内でゾヌリンという物質を放出させます。このゾヌリンの濃度が高くなると、腸壁をつくる粘膜細胞の結合がゆるみ、細かな穴が開きます。そこから未消化の栄養素が流出し炎症を起こし、免疫力が低下するのです。パスタやラーメン、うどんなどグルテンを含む食品は、週に2回くらいにしておくと良いでしょう」

 毎日の大便の量で、腸内細菌の量がわかるという。

「大便は、食べたもののカスと思われていますが、これは5%しかありません。腸内フローラが理想の状態に整っている人の大便は、水分が約60%、腸内細菌やその死骸が約20%、腸壁からはがれた細胞の死骸が約15%となっています。日本人の大便は、戦前は1日約400グラムありましたが、今は200グラムに減っています。若い人は150グラムくらいが多くなっています。腸内細菌が少ないと、大便の量が減ってきます」

 免疫力が高い人でも、その日の気分によって免疫力が下がる場合もあるそうだ。

「免疫力の70%は腸でつくられます。残りの30%は心でつくられます。精神的ストレスがあると、自律神経の交感神経の働きが強くなり、血管が収縮して血流が滞り免疫細胞の働きが低下するのです。免疫力が最も活発になるのは、リラックスして副交感神経が優位になった時です。この時、NK細胞が活性化します」

週刊新潮WEB取材班   

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